屈筋と伸筋

昨日の操作ミスを忘れて、切り替えていきましょう。
屈筋と伸筋の話です。

だれにでも分かる腕立て伏せの動作、背中から足のラインを真っ直ぐにして、両腕は肩幅くらい肘を伸ばして手のひらで体を支える、これがスタートポジションです。

まだ何もしていませんが、この状態を維持するためには、肘や膝や背中が曲がらないように、関節を伸ばす筋肉、伸筋が常に働いています。

特に腹巻ゾーンと言われる体幹部分が弱いと、体を真っ直ぐ保てませんので、今はやりの体幹トレーニングの基本は、この腕立て伏せのスタートポジションを30秒なり1分間維持しているだけで十分な効果があります、ただ1分間そのままでというのはかなりキツイとは思いますが。

さあこの姿勢からゆっくり肘を曲げて胸が床につくすれすれまで、真っ直ぐに維持した体を沈めていきます。

肘を曲げるという運動の主役は、腕の太さを誇示するときに力こぶを見せつける、あの上腕二頭筋です。

片手でダンベルを持って、伸ばした肘を曲げていく、ダンベルカールという種目であれば、まさに主役の一人舞台と言えるかもしれません。

しかし、腕立て伏せの場合、肘を曲げるという運動の主役だと思っている上腕二頭筋が、他の筋肉の関与を無視して主役を演じ切ってしまったらいったいどうなるでしょう。

体を真っ直ぐに保ち、床に落ちないように支えてくれていた上腕三頭筋が、その活動を停止し主役の二頭筋だけが曲げることのみに100%力を発揮したら、そうです顔面から床に激突してしまうのです。

外から見える現象としては、伸ばしている肘を曲げていき、曲げきった位置から今度は肘を伸ばし、体を持ち上げていく動作です。

曲げていくときには上腕二頭筋、切り替えして伸ばしていくときは上腕三頭筋が収縮し、結果として上腕の曲げ伸ばしに関与する両方の筋肉を強化している、という風に見えるわけです。

ところが実際には、突っ張り棒のように伸ばして支えている状態の時から、常に働いてくれているのは上腕三頭筋のほうなのです。

体が一気に落ちていかないように、スピードと姿勢をコントロールし、少しずつ肘の角度が体の重さによって曲がって、下がっていくのを受け止め、さらに収縮の度合いを高めながら胸の位置をコントロールし、よしこの位置から伸ばして体を持ち上げるぞというタイミングで、さらに強い収縮を発揮し体を持ち上げていくのです。

言いたいことは伝わっているでしょうか、そうです腕立て伏せの主役は肘を伸ばす「上腕三頭筋」なのです。

同じように、きおつけの姿勢で背中が丸まっている人に対して、「胸を張れ」という指示が飛びますね。

筋肉は、脳が企図して指令を発し、神経伝達物質が神経を伝わって筋肉の受容体にその指令が届くことで、アクチンとミオシン(この用語に関してはいつか詳しく話ができると思います)が重なり合うことで収縮し、関節の角度を変えます。

この事実は最も重要なポイントで、筋肉は縮むことはできても、意識した指令によって伸びるということはできないのです。

ですから胸の筋肉が、張れイコール伸びろと言われても、何の対応もできません、でも胸を張れと言われた人はしっかり胸をは張って、良い姿勢を取ろうとしますよね。

ここが日本語の間違いなのです、張った収縮運動をしたのは胸ではなく背中の筋肉なのです。

背中の筋肉が収縮して、体の屋台骨である背骨をしっかり立てようと頑張ってくれたことで、結果として胸を張った良い姿勢になったというのが正しい表現ということになります。
では今後、姿勢の悪い人への号令は、「背骨をしっかり立てて、肩や胸をリラックスさせて」、なんて言われてもピンときませんね。

そんなことどうでもいいじゃないかと思われるでしょうが、この事実をしっかり認識していただかなければ、屈筋ではなく伸筋に対するアプローチこそが、トレーニングの基本なんだという、「西本理論」の根幹を理解していただけなくなるのです。
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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