何を優先するべきか

広島市内も秋の気配が深まってきました。

現在通勤は自転車で10分ほど、汗もかかない楽さです。
一応仕事は何7時までとしていますが、予約制ですので最後の6時の枠に予約がなければ、早仕舞いにしたり、どうしてもという依頼があれば、この建物が閉館する11時近くまで仕事をすることもあります。

昨日は定時の7時過ぎに帰りましたが、薄手のパーカーでは寒く手袋も欲しいくらいでした。
台風が去り一気に秋がやってきたようです。

先日来て頂いた方からも質問があったのですが、シーズンオフの筋力トレーニングの時期に故障者が増えることをなんとかしたい、という趣旨でした。

現状をお聞きすると、トレーニングの指導には、全国規模の展開をする有名なジムから、私のような貧素な体ではなく、君たちもこんな体になりたいだろ、と言わんばかりの体をした指導者が派遣されて来るそうです。

そして、指導の効果を図る指標は、やはり数値なのです。

依頼する側の指導者、指導を受ける選手たちとその保護者たちの全てが、お金を払い指導を依頼する側に期待しているのも、結局は体重が何キロ増えたとか、ベンチプレスやスクワットの重量や回数が増えたという、誰の目にも明らかな数値の向上だと思います。

私も20数年前トレーニングの指導を始めた時はそうだったと思います。

違うのはそのトレーニングで体を痛めるという状況は作らなかったことです。

何が違ったのでしょうか、まだまだ理論的に確固たるものはなく、基本的なフォームを指導していただけですが、その当時から、可動域の重要性を説き、いかに無駄なく力を発揮するかを分からせるという指導方針で行っていました。

1年生が入学し、40キロでも重いと感じていたベンチプレスが、卒業する頃には80キロになり、中には100キロを超える選手も出てきます。

それはそういう時期だからです、そのままのペースで100キロが150キロになったりはしませんし、またその必要もありません。

素晴らしい数字を残した3年生が卒業し、何にもできない1年生が入学してくる、これを繰り返すだけですから、この時期の数値を目標にするトレーニングは簡単なのです。

あれから20年以上たち、筋力トレーニングは必須なものと考えられるようになりました。

様々な理論が喧伝され、指導者と呼ばれる人たちの間にも個性が出てきたと思います。

施設も整備され、校内にトレーニングルームを設置する公立高校も珍しくありません。

そうした中でどうしてトレーニングで体を痛めるなどという状況が起こってくるのでしょうか。

高校生活の3年間は、男子であれば人間としての組織を完成させる仕上げの3年間です。

ほぼ18歳で完成した人間の体は、残念ながら残りの人生では成長という言葉から、衰える老化して行くという下り坂に入って行きます。

これは現実で変えようがありません。

と言っても、そこからが本番で、本番を生きて行く準備が18歳で完成したと言い換えた方が正しいのかもしれませんが。(ちなみに女性はもっと早く16歳です)

この完成期に当たる16歳から18歳という最も大事な時期にウエイトトレーニングを行うことは、一生の財産になると言っても過言ではありません。

正しい理論と方法論を身につけ実践すれば、大人になって体を動かすことが少なくなっても、少しの時間を見つけて自分で自分の体を調整できるでしょう。

そういう意味でも、学校教育の中にトレーニング理論や実技があってもおかしくないと思います。(あくまでも私の理論に沿っての話ですが)

球技やその他も大事でしょうが、本当に役立つのはどっちかといえば答えは自ずと決まってくると思うのですが。

ここからは問題提起になります。

その大事な時期に必要な要素は一体なんでしょう。

言葉はみんな知っていると思います、『栄養・休養・トレーニング』です。

これらが一体となって体を成長させてくれます。

運動部の多くは朝練と称して、早朝から選手を登校させて、練習をさせています。

私たちが子供の頃であれば、練習中に水を飲むなどもってのほか、ライバルチームが4時間練習しているならば、こちらは5時間練習することで、やることはやっているんだという気持ちにさせられる風潮もありました。

本当にそうだったのでしょうか、楽をして勝てると思っているわけではありません、色々な意味で正しいことを取り入れ、指導者と選手が共通の認識で取り組んでこそのトレーニングであり結果なのだと思います。

結果を残した指導者のところに選手が集まるのは、昔も今も変わらないと思いますが、それだけでは大きな変化や成長は期待できないと思います。

朝の6時30分に学校に来るためには、何時に家を出なければならないのでしょう、朝食をきちんと食べるためには何時に起きなければならないのでしょう。

前の晩は遅くまで練習してクタクタで帰ってきて、ご飯を食べお風呂に入って、寝たと思ったらすぐに起きなければならない、こんな生活が人間として最も大切な完成期にとってプラスになるのでしょうか。

そのために全員合宿生活させてという発想が出てくるのでしょうが、朝の短い時間で習得できる何かより、人間としての基本的な成長を優先するという発想はダメなのでしょうか。

人のやり方に口を出すなと言われそうですが、そのやり方に従わされているのは、紛れもなく従うという選択肢しか与えられていない若者たちなのです。

質問していただいた参加者の方は、母校のためにボランティアで協力されているそうです。

私は言いました、帰ったら胸を張って自分に指導させて欲しいと言ってくださいと、私の話を2日間真剣に聞いてくれて、実技で何が正しいのかを身を持って感じていただいたのですから、毎年毎年この時期からのトレーニングで故障者を出している指導者よりは、間違いなく選手たちのためのトレーニングを工夫できるはずです。

困ったら相談してください。
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Re: No title
コメントありがとうございます。
私がこの道を志したのも、元はと言えば高校時代、細い体で頑張りすぎて腰を痛めたり、理不尽な上下関係に納得がいかず、何より好きだった野球をやめてしまったことに始まっていると思います。
本当の意味での厳しさ、本当の意味での正しい方法、誰もが納得して取り組めるやり方を見つけられれば、自分のような人間を増やさずに済むのではないかと。
始めた頃には、ほとんど無視されてきた私の考え方が、今になってやっと聞く耳を持ってくれる人が増えてきました。
だから声を大にして叫び続けなければならないのです。
森さんにも同じ雰囲気を感じます。
来てくれている指導者にも西本理論をぶつけてみてください、心ある人間なら何か気づいてくれるはずです。
それがその相手の成長にきっかけにつながると思います。
仲間を増やしましょう、それが森さんの描く夢への第一歩となるはずです。

  • 2013-10-19│16:31 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
No title
とても熱い激励の言葉をいただき感激しています。本当にありがとうございます。

故障を抱えて思う存分高校野球をプレーできないもどかしさを味わう選手が一人もいなくなるようにすることが私の悲願です。

故障をしない動き作りのトレーニングと技術の向上は深い関連がある、というのはむしろ間違いで、イコールどころか同一のものと考えなくては何も始まらない。そう西本塾で教わったと私は受け止めています。

それは私の悲願を達するどころか、それ以上の結果をもたらすことを意味しています。おそらく西本さんにとっては至極当たり前のことを言ったまでとは思いますが、私にとっては衝撃的なお話でした。

この正しい考え方を実践すれば、どんなにすばらしいことが起こるのかと、想像しただけで興奮してしまいます。

選手たちは指導者に従う以外ないという状況であるのならば、指導者は正しい理論と方法で導いてあげる責任があります。

しかし今まで私にはチームをサポートするという考えに甘んじる意識がありました。そこにはチームや選手一人ひとりに対して責任を負うという覚悟が欠如していたように思います。

まだまだ理解が浅いとはいえ、いったん西本理論に触れた以上はこの正しい理論と方法をもってして、選手たちを導いていく使命があると心に刻み、決意と覚悟を持って臨みたいと考えています。

たかだか母校にボランティアで関わっているだけの野球好きのOBが、大げさなことを言っていると笑われるかもしれませんが、私の目には甲子園の舞台で躍動する後輩たちの姿が見えてしまっています。やり遂げなければ死んでも死に切れないと思うほどです。

最後に、蛇足かとは思いますが、現在トレーニング指導をしてくださっている方について補足をさせていただきます。

愛知県の中では一目置かれる存在とはいえ、おそらくはそれほど高くない報酬で、いまだ甲子園出場に届かない地方のいち公立高校に8年もの長きにわたり関わってくださっているS&Cコーチ氏には、以前から私自身敬意と感謝の気持ちを持っています。それゆえ監督もおおきな信頼を寄せていることと思います。

(某ジムとお話しましたが、どうも私の勘違いだったようです。指導の内容については以前お話したようなことに違いはありませんが、よりアスリートのサポートに特化した団体出身の方でした。失礼しました。)

監督にしてみれば私がいくら一年上の先輩とはいえ、簡単にやり方を変えるというわけにはいかない事情もあります。ですが時間をかけてでも、一部ずつでもいいので考え方を浸透させるべく西本理論を根気よく説いていこうと考えています。

何かにつまづいたときには、教えを請うことがあると思います。そのときにはぜひともよろしくお願いいたします。

長文失礼いたしました。

  • 2013-10-19│15:12 |
  • 森孝寿 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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