イニエスタ選手の身のこなし

西本塾に参加して頂いた、Jr世代のサッカー指導者の方からメールでご質問がありましたので、この場を借りて私の感じたことを述べてみたいと思います。

質問の内容は、

イニエスタの動きの特徴のひとつは、地面を強く踏んでいない、蹴っていないという点です。

また、プジョールのような、地面を頑張って思いっきり踏みしめていますね、と解説を入れたくなる動きをする選手は五万といます。

この違いはなんでしょうか?


という趣旨だと思います。

私はJリーグで通算4シーズンと少し仕事をさせていただきましたので、サッカーに関して全くの素人ですとは言いにくいのですが、申し訳ないことにイニエスタという名前もプジョールという名前も、全く聞いたことがありません。

もちろんどんな選手なのかも分かりません。

そんな私が、二人のプレースタイルというか、体の使い方身のこなしについてコメントを求められても、正直すぐに答えられるわけはありません。

ただ私に聞いてくるということは、私の専門分野である体の仕組みやその正しい使い方という観点から、どう思うかという意見を求められているのは百も承知ですから、とりあえずYouTubeで動画を探して見ました。

見る前から想像は付いていましたが、なるほどこういうところを見て、私に意見を求めてきたのだなというのが一目瞭然です。

おそらく二人とも世界でもトップレベルのプレーヤーなのでしょう。

西本塾でも少し触れましたが、体を移動させるという行為、歩くとか走ると言った動きを行うためのエネルギーを、どこで発生させどこへ伝えて、どういう動きを誘発させるかという、最も基本的な問題です。

普通は足の裏で地面を蹴って、その反力を得て体重を移動させようとします。

体が悪い意味で一つの硬い物体となっており、その重さを移動させるためにはかなりの筋力が必要となります。

その最も分かりやすいのが砂浜を走る時の感覚です、ふくらはぎや太ももに大きな負荷がかかり、筋肉が疲労して硬くなるのがわかります。

イニエスタ選手の動きを見ていると、いわゆる踏ん張る、居つくという感覚が伝わってきません。

地面と接しているのは、確かに足の裏ですが、宙に浮いているというのは大袈裟ですが、スピードを上げる瞬間、切り返したりターンをする瞬間、全く踏ん張っていません。

全く踏ん張らなければ反力は得られないのに、なぜそう見えるのかということになります。

人間は皮膚という皮袋に包まれた液体だと思ってください。

実際、体重の60%以上は水分であると言われています。

さらに、皮膚と身(筋肉や脂肪組織)の間には緩みというか、間があります。

試しに片方の腕の柔らかい部分を、反対の手の指先でつまんで動かしてみてください。

腕自体は動かず皮膚だけが3センチとか多い人だと5センチくらい動くのが分かると思います。

これが「間」です。

イニエスタの動きにはこの間が随所に見られます。

上体はまだ対面する選手に向いているのに、体の中身はすでに別の方向へ動き出しているように見えます。

次回の西本塾で取り上げますが、地面を蹴らない走り方や方向の変え方、そのための股関節と背骨、肩甲骨との連動、こういうものを後天的にでもトレーニングの意識を変え継続することで、有る程度のレベルまでは獲得することができるのではないかと思っています。

ところが、踏ん張る力を増強する方が、変化としてわかりやすいので、肉体改造やパワーアップという言葉に踊らされて、その他大勢の能力を身につけようとしている人がほとんどであるというのが現状だと思います。

何度か例に出してきたイチロー選手の体が証明してくれていますね。

コップの中の水はほんの少しコップを傾けただけでも、そのあり様が変わります、人間は柔らかい皮袋で包まれ、なおかつ中身も柔らかいのですから、それをうまく使わないてはありません。

頑張れば頑張るほど早く疲れますし、動きの変化に対応できません。

たくさんある関節を、ほんの少し筋肉の力を借りて連動させるだけで、自分が思っている以上の動きを表現してくれます。

筋力に頼って、体を固くし、関節の動きを妨げてしまっている選手たちの間を、柔らかくしなやかに関節を連動させ、皮膚と身の間をうまく使って、相手に動きの変化を悟られず、自由に動き回れるイニエスタ選手、あなたのことを、どこのどなたかも知らなかった私に、褒められても嬉しくもないでしょうが、みんなあなたのような身のこなしが出来るようになりたいと思っていますよ。

そしてかわされてバランスを崩し、しまいには足を出してファールをしてでも止めようとしますが、それでも倒れずドリブルで突破して行く、そういうシーンばかり集めたものでしょうが、見ていて気持ちがいいですね。

私でも知っているメッシ選手も全く同じです。

だからこそ小さな体で、屈強なディフェンスの間を自由自在に動き回れるのでしょうね。

そのための方法論、一朝一夕にはもちろんいきませんが、あの人は持っているものが違うとか、センスの問題だという言葉で片付けてしまわず、なぜどうしてという部分をしっかり分析して、少しでも近づくことができるように努力して行きたいですね。

そう簡単に、なるほどそうだったのか分かった、と言われてもそんな簡単な話ではありませんが、体の仕組みを学べば学ぶほど、人と違う視点で動きが見えてくるようになることは間違いありません。

それを応援するのが私の仕事です。
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Re: タイトルなし
せっかくコメントを入れていただきましたが、お答えできる質問になっていません。
ブログ内11月24日付「ついにこんな質問が」のタイトルのページをよく読んでいただき、きちんとした文脈の文章で質問してください。
  • 2013-12-18│08:40 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
どのようにしたらそのような関節になるのですか?
  • 2013-12-18│07:11 |
  • ryouto URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
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