理論と現場を結びつけるために

現在の私はスポーツの現場で直接指導ができる立場にありません。

過去の経験を踏まえて、自分ならこうできる、こうすればもっと良くなる、そう思って今年、最後の現場のつもりで出て行ったにもかかわらず、志半ばにも届かないまま離れてしまいました。

指導という言葉は、どちらかと言えば一方的で、上から目線になってしまいます。

その場その場に必要な内容を整理して、少しずつ小出しにしていかないと、いきなりこれが正しいんだ、こうやればいいんだでは、反発を受けることになりかねません。

私がこのブログで書いていることは、教科書的な理屈ではなく、経験し積み上げられてきたものの集積ですが、それでも初めて聞く相手からすれば、にわかには信じられないことも多いのだと思います。

第一回目の西本塾をやってみて、それぞれの立場で苦労されているお話を伺ったり、ブログにコメントを寄せてくださる方の中にも、指導者として様々なご苦労をされていることが伝わってきます。

おそらくこれが正解だというものは、存在しないのだと思います。

たとえそれがどんなに正しいことであっても、相手にとって必要なことであっても、今この瞬間相手の胸に響かなければ、それはただの自己満足に過ぎないことになります。

自分の経験の中で、なんとか今この選手に分からせてあげることができなければ、その後伸び悩んでしまった過去の選手と同じ道を歩んでしまう。

何度そう思ったかわかりません。

それが伝えられないのは、自分の指導力ひいては人間力が足りないのではと、わが身の未熟さを嘆いたりもしました。

しかし、どちらを選ぶのも相手の自由ですし、歩いて行く先まで面倒を見るわけにはいきません。

所詮他人の人生ですから。

ところがそう割り切れないのが、こういう仕事を選んだ人間の性なのでしょう。

だからこそたくさんの人が、真面目に取り組み悩みもがいて、私のわずかな経験の中にでも、なにかヒントを得ようと集まってくださるのだと思います。

とにかくたくさんの引き出しを準備して、その場その場でどこを開けなにを伝えられるか、その引き出しも誰かに与えられたものではなく、自分で一つ一つ手作りで作り上げたものでなければ、相手には薄っぺらなものと映ってしまうでしょう。

学んだこと経験してきたことを、どうやって選手に還元できるか、今その瞬間に自分の知識だけで対応できなかった時、誰かに助けを求めるのではなく、自分で考えを発展させるための基礎の部分をどれだけ学んでいるか。

本当に大事なのは、その部分ではないでしょうか。


私がよく例に出す、何種類かの大きさと色の違った糸のついた飴玉を束ねたものを、糸の側から一本選んであたったもの がもらえるというのが駄菓子屋さんにありますよね。

世の中みんなが賢くなったのかずるくなったのか、欲しい飴をちょっと引いて、確認してからその紐を引くというやり方が効率的と判断される世の中になってしまいました。

思った結果が出なければすぐに方法を変えてしまう、手っ取り早く効果の出るやり方を選んでしまう。

スポーツの世界でもそんな風潮がはびこっています。

失敗の積み重ねの中にこそ見えてくる何かがあるはずです。

それを繰り返してきたからこそ、これが正しいやり方だよと言いたい私がいます。

失敗をさせるとは言いませんが、簡単に答えを与えてしまうことが本人にとって良いことばかりではないことも、少し分かってきたように思います。

それでも私のような立場にいようと思えば、やはり正しい道筋は押さえておかなければなりません。

あとはそれをどのタイミングでどう伝えて行くかということが、それ以上に難しい技術ということになるのだと思います。

まだまだ自分は未熟だと思います。

多くの方と交流させていただくことで、足りなかった何かを身につけて行きたいと思います。

現場の仕事のあるなしに関わらず、この道に足を踏み入れてしまったからには、最後まで理想を追い求めて行きたいと思います。
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Comment

こちらこそよろしくお願いします。
お返事ありがとうございます。
そもそも、私が演奏に支障をきたしたのも色々な癖を直そうとレッスンで色々と触れられて、その事を何とかして良くしようとその事ばかりに意識が行き過ぎたことが原因だったように思います。
まさしく木を見て森を見ず状態で、肝心の演奏することを見失うほど執着していました。
今ではからだの自然な流れでなるべくしてなっている状態というのか、当該箇所を触るよりも別のところからアプローチしていくと自然に解消されている実体験から西本先生が おっしゃる内容が他の理論よりもすっきりと理解できる気がします。
演奏者にもそのまま通じる理論だと思います。

  • 2013-11-12│02:27 |
  • サッカー好きの音楽家 URL│
  • [edit]
Re: はじめまして
コメントありがとうございます。
分野の違う方から、興味を持って頂き嬉しく思います。
元々、操体法の勉強をしている時には、スポーツよりも演劇やダンス、また声楽等の体そのものを使う方々とのご縁が深いことを、亡くなった渡邊先生から伺っていましたが、私がスポーツ志向だったので、これまでご縁がありませんでした。
ただ、長女が小学生の頃からトロンボーンを始めて、地元の音大を出ましたので、演奏会に行ったり家庭でもクラシックがBGMに流れることもあり、今でもたまにクラシックの番組を見たりします。
その長女が20歳の時に若年性パーキンソン病と診断され音楽の道をあきらめざるを得なくなったとき、親てして何もしてやれなかったことが、とても残念でした。
今でも趣味で続けておりますが、声を出すこと、楽器を演奏すること、すべて身体の使い方の重要性は、私なりに認識しているつもりです。
異分野の方のご意見が伺えることがないので、これを機会にぜひ色々教えて頂ければ幸いです。
今後ともよろしくお願いします。
  • 2013-11-09│22:21 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
はじめまして
西本先生、はじめまして。
ネットの記事からここにたどり着きました。
演奏時のからだの使い方に関心があり、ブログの内容をもとにひとつひとつ演奏者の場合に置き換えて考えています。私自身、演奏すること自体にとても苦労した時期があり色々なことを考えるきっかけになりました。
一見して分野は違うものの、機会がありましたら是非先生とお会いしてみたいと思っております。
東京から応援してます。
  • 2013-11-09│21:48 |
  • サッカー好きの音楽家 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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