不安定の中にこそ安定がある。アイドリング・揺れることの意味。

私がなぜ屈筋ではなく、伸筋の重要性を発信し続けているのか、その一つの答えが今日の記事の表題にあります。

トレーニングイコール肉体の強化、それが体幹であったり太腿の裏側であったり、体の前面の腹筋や胸筋だったりと、とにかく強く大きくということがトレーニングの効果であり、目的だという認識が疑うことのない常識だと思われています。

トレーニングを頑張れば、ケガをしにくい体が手に入る、自分の足らない能力を補ってくれると信じ、一生懸命に取り組んでいると思います。

現在グループトレーニングを行っている4人のなかで、スタート時点ですでに「体づくり」という目的は十分に果たしていたのが高2のY君でした。

高校入学時には細身だったそうですが、チームで取り組まされている筋力トレーニングのお蔭で、入学後の1年間のトレーニングで10キロ強の体重が増加したそうです。

本人の努力は想像を超えるものだったと思います。

当然本来の目的である、彼にとって苦手だったスピードや俊敏性といったサッカー選手にとって大事な能力の向上も期待していたと思います。

ところが彼の期待に反して、動きの改善が図られるどころか、さらに重くぎこちない固い動きとなり、本物のゴリラには申し訳ないですが、ゴリラのような動きと評される、目指した方向性とは全く違うものとなっていました。

言われたことを言われた通り、いやそれ以上に努力したからこそ、チームの誰よりも立派な筋肉を身に付けられたのだと思います。

そういう指導が、本当に人間の動作にとって、サッカー選手としての彼らの能力を向上させるためにプラスになると信じている指導者の側にこそ責任があるのです。

「どうして素早い動きが出来ないのか、どうして柔らかいボール扱いが出来ないのか」、それが自分が一生懸命頑張ってきた「体づくりのためのトレーニング」の一番大きな弊害だと言われたら、彼はどうすればいいのでしょうか。

残念ながら、まさに彼はその悪循環の中に居て、そこから抜け出すことが出来ていません。

後の3人は、幸いなことにゼロからのスタートだったので、私の指導を頭も体もすんなり受け入れてくれ、加えて本来の目的であるサッカ-の動きが向上しているという実感があるため、すべてが良い循環を生んでいます。

ではなぜ体づくりのトレーニングが、私の言う良い結果を生まないどころか、さらに悪い方向へと引き降ろしてしまうのでしょうか。

それは体を安定させてしまうからです。

体が安定するという言葉にマイナスなイメージを持つ人はまずいないと思います。

昨今のマスコミ報道でも、「トレーニングによって体幹が安定したことがフォームの安定につながった」という意味合いの言葉が多く使われています。

それを見聞きする我々の側は、疑うことなくなるほどそういうトレーニングを行えばいいことがあるんだと思わされます。

では、私が求めている方向性とはどんなものなのでしょうか。

我々人間は重力というものが存在する、丸い地球の上に二本の足で立って生活しています。

ここに発想の分かれ道が出来ます。

ひとつは重力に抗して安定を得るために、体を強くするという方向性です。

「どこからでもかかってこい」と言わんばかりの強靭な肉体、押しても引いても倒れない体に鍛え上げようというものです。

これは一見正しいように思いますが、ひとたびバランスを崩されると、あっけないほど簡単に倒れてしまいます、それが重力の中で生きているということです。

対して私が求めていることは、重力の中で二足歩行をしなければならない我々にとって、安定がすべてではなく、不安定をうまく利用し、不安定な中に暮らしているからこそ発揮できる体の能力を磨いていこうという考え方です。

安定を求めて地面を踏みしめ、居着いてしまうのではなく、いついかなる瞬間も前後左右そして上下にと重心を自由に移動させることが出来る状態にしておくことこそ、我々に与えられた最も優れた能力であると考えるのです。

ここ最近の気づきですが、これまで歩く走るの一番の基本となるドリルである「アイドリング」という動作を行ってもらう時、その一番の目的は、おそらくこれまでまったくイメージがなかった、「骨盤を縦に動かす、いや骨盤が縦に動く」という事実を正しく認識してもらうために考えたドリルでした。

今でもそれは変わっておらず、絶対に感じ取ってほしい感覚の一つです。

とくに初心者の方には、しつこいくらいこのドリルの重要性をお話ししています。

そして、さまざまなトレーニングやドリルを繰り返し、実際のサッカーという競技の動作に結び付けて行く中で、このアイドリングという動作から前方への移動までのドリルが、大げさに言えばすべての動作の基本になっているということを確信しました。

このドリルの動きが正確に理解し実行出来ないと、その後のドリルや動作は私の意図している物とは似て非なるものになってしまうということです。

「骨盤を縦に動かす、肩や肩甲骨を縦に揺する」、言葉で言えばそうなるのですが、体の部分ではなく全体が一つの物体として揺れているという感覚まで行かないと、不安定を使いこなすというレベルにはとても届かないことが分かってきました。

人間の体は体重の約60パーセントが水分でできていると言われています。

皮膚という皮袋の中身は60パーセントが水分なのですから、それが気持ち良く揺れてくれなければスムーズで滑らかな体の動きなどできるはずがありません。

残りの40パーセントをいくら力ませたところで、所詮は半分にも満たない存在なのですから。

深めのワイングラスの中に60パーセントの水を入れたところを想像していただき、それをゆったり揺らしたところで中の水がこぼれることはありません。

それを40パーセントが支配してコップを激しく揺らせたとしたら、水はコップの中から飛び出してしまうでしょう。

不安定な地球上に立つ我々こそが、良い意味での不安定さを失うことなく上手に体を操ることこそが、本当の意味での「自らの意図した筋肉の収縮活動を、反復継続して行うことが出来るの能力」と私が定義した技術そのものではないでしょうか。

その不安定さ柔らかさを一番表現してくれるのが、骨盤と背骨だと思います。

棒高跳びのポールは、選手の体重や筋力、そして目的とする高さに応じてグラスファイバーで出来たポールの硬さを変えて使用するそうです。

柔らかくしなやかであれば良いというものではありません。

その選手の求めるレベルに応じた強さが必要なことは当然のことです。

その強さの意味が間違って伝えられているというか、私が間違いだと思っている概念を、世の中のほとんどの人たちが正しいと思ってしまっているという訳です。

不安定を使いこなすためにはそれ相応の筋力が必要となります。

それが骨盤と背骨を操ってくれる、広背筋を中心とした背中の伸筋群です。

そのために、ベンチプレスもスクワットもすべてのトレーニング種目は、背骨を動かすために行うと言っているのです。

それを本当の意味で分かってもらうためには時間がかかります。

頭で理解したつもりだけではまったく意味を成しません、逆に体がトレーニングによって私の求める動きに近づいたとしても、理論的な部分の理解がなければ応用が利きません。

それくらい難しい作業です。

まだ意識が確立されていない中高生だから、継続した指導を受けているからこそ、半年足らずで私の指導を吸収出来たと言えるかもしれません。

彼らが出来たことが他の選手にできない訳がありません。

これまでは「私が出来ることを、君たちが出来ない訳がない」という言い方をしてきましたが、これからは「中学三年生の男女でも出来たことを、君たちができない訳がない、自分が変わりたくない変われないと逃げている言い訳に過ぎない」と言ってやろうと思います。

体全体が揺れているアイドリングから、上半身と下半身をほんの少し捩じってあげることで、重心が移動し前方に進んで行くことが出来ます。

さらにその動きの回転数を滑らかにあげて行けばスピードが上がります。

その後に続く「引っ張り出しのドリル」にも、新しい大きな発見がありました。

この部分はこれまでにない大きな変化だと思います。

トレーニングに通って来てくれる彼らから、次から次へと大きな気付きを与えてもらっています。

それは私の真剣さと、彼らの真剣さが正面から向き合っているからこそのものだと思います。

4月開催予定の西本塾までまだ時間がありますから、まだまだ新しい何かが私の中に湧き出してくれると思います。

私自身がそれらをどう整理して伝えられるか、開催はまだ決定ではありませんが、実現したらきっと面白いものになると思います。

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自らの意図した筋肉の収縮活動を、反復継続して行えるようにするのがトレーニングの目的。

これまで色々な形で指導をする機会を与えて頂きました。

一口で指導と言っても、色々な意味があり、一括りにして語ることはできません。

私の場合、私に期待されていることに応えるというよりも、対象となる選手やチームにとって何が必要なのか、それを正確に見極めることなしに指導はできないと思ってきました。

ですから、私を受け入れた側からすれば、そんなことは頼んでいないと思われることも多々あったことと思います。

もちろん私がその組織の最高責任者として招かれることはありませんし、個人が対象だとしても、私の考え方がすべてに優先されるとは思っていません。

ただ、私が関わった限りは、期待された以上の結果を出させてあげたいという思いが何よりも優先されました。

その過程では当然のように軋轢があり、衝突することもありました。

それでも目先の結果ではなく、もっと大きな目標に目を向けさせ、そこに到達するためにはこういう考え方や方法論が必要なのだと、熱く語ってきました。

トレーニングに関しては、何度も繰り返し書いてきたように、ただ体を追い込む、いじめるなどという発想はありませんでした。

選手にとってはそう感じることもあったかもしれませんが、私の中ではすべてにおいて計算ずくで、本当に必要な能力を獲得してもらうためには絶対に乗り越えなければならない課題でした。

10年くらい前だったでしょうか、当時指導していた社会人野球の三菱重工広島が、立派な雨天練習場を新設してくれました。

それまでは雨が降ると、練習らしい練習ができず、スケジュールが大きく狂ってしまうことがありました。

雨天練習場のお陰で、その問題が大きく改善されたことは言うまでもありませんでした。

中でも、私が取り入れたサーキットトレーニングは、選手の能力を大きく向上させられたと思っています。

選手を2人ずつペアを組ませ、できた数だけの種目を並べ、時間を決めて交代で行わせ、すべての種目を一回りもしくはふた回りさせるというものです。

その種目は野球選手としてだけではなく、スポーツ選手として必要な、あらゆる動きをスムーズに行えるように考えて設定しました。

時間はその時期の練習や、前後のトレーニングの内容を勘案して、けっして無理なく、そしてもちろんかなりきつい内容でした。

一人が行っている時には、相棒は休んでいるのではなく、補助と言うか一緒に動きていなければならない種目がほとんどですから、二人が終わった瞬間に隣の種目に移動して行うので、インタバルというか休憩はありません。

団体競技ですから、できれば全員が高いレベルの能力を身に付けて欲しいことは当然ですが、個人差が大きいこはある程度仕方がないことでした。

それを自覚してもらう意味でも、全員で行うサーキットトレーニングには意味があったと思います。

ややもするとトレーニングはが、ただキツければ効果あると思われてしまうことがありますが、それはあくまでも結果であって、指導する側される側、双方の自己満足に過ぎないことがほとんどです。

問題はその内容であることは誰が考えても分かることで、その一つ一つに意味を持たせなければ、行う意味はありません。

今行なっている中高生のサッカー選手たちとのトレーニングも同じです。

彼らには明確な目標があります。

そして、私のところでトレーニングを行うことができる期間も、最初から決まっていました。

ただの肉体改造で、体重の増加や筋力アップが目標なら、本意ではありませんが、そういう指導もできたかもしれません。

4月からそれぞれ次のステップに進み、そこからさらに上のステージを目指す彼らに、今、身に付けて欲しいことを、限られた期間の中で指導しなければならないという、私にとってもひとつの挑戦でした。

これまで作り上げてきた理論を基礎としたノウハウで指導すれば、それぞれの目標に対して、ここまでは届かせることができるという勝算は当然ありました。

今回驚いたのは、私が過去指導してきた誰よりも、中高生の彼らの変化は大きく、私の予定というか想像をはるかに超えた能力を身に付けてくれています。

彼らはただ言われたことを素直にやってくれるだけではなく、実際のプレーの中の動きとの関係性や、トレーニング自体の意味に対しても、貪欲に質問し吸収してくれています。

そのやり取りの中で、私自身がこれまで感じてこなかった沢山のことを気づかせてくれています。

そんな中、受験勉強が一段落し、4月からの生活に気持ちが向かい始めると、トレーニングに対しても、今やっておかなければ、4月以降どうなるんだろうという不安感からか、頻度を増やす傾向が出てきました。

動きが明らかに変わってきた、トレーニングが楽しくて仕方がない、その効果を感じれば感じるほど、トレーニングを休みなくない、1日でも多くトレーニングをやりたい、その気持ちは嬉しいしよく分かります。

しかし、いくら若くて疲れ知らずの年頃とはいえ、また彼らの息遣いを感じながら、負荷を調整しているとはいえ、明らかにオーバートレーニングになっていると感じる部分が見えてきました。

こうなると自分から回数を減らしたいという言葉は言いにくいと感じて、私の方から回数を制限すると伝えました。

体はけっしていじめるものではありませんから。

この先、自分の夢を叶えてくれる、もっとも信頼すべき相棒なのです。

その信頼関係を作り上げるのが「伸kingトレーニング」「動きづくりのトレーニング」なのです。

自分の体をどうやって動かしたいのかをきちんと意図し、それが正しく行われているかを検証しながらトレーニングを行わなければ、意味がないのです。

楽そうなイメージがまだあるかもしれませんが、頭も体もフル回転させなければならず、想像以上にきついトレーニングです。

彼らと過ごす時間の中で、指導する側として何をどう伝え、色々な意味で彼らをどうコントロールするかという部分に関し、日々新たな発見があります。

これまで私は相手の能力の限界が、ある程度見えてしまうというか、決めてしまうことがありましたが、彼らを見ていると、そんなことはまったく意味をなさないことが分かります。

彼らの能力は無限大で、どこまで成長していくのかは、彼らがその歩みを止めない限り永遠に続いて行くような気さえします。

そんな彼らのお手伝いをさせてもらっていることを、とても嬉しく思います。

長く指導を続けられないことは残念ですが、3月末までの半年間とはいえ、彼らの人生の中で貴重な期間だったと思ってもらえるように、もうひと頑張りしたいと思います。

「伸kingトレーニング」の目指すところと、その効果。

体調不良で長く布団の中で過ごしましたが、そんな中でも頭の中ではいろいろなことを考えていたので、忘れないうちに記事にしておきます。

これまで「伸kingトレーニング」の概要をランダムに説明してきましたが、今回は一気にその効果というか、トレーニングによって何がどう変わるのかという部分に触れておきたいと思います。

このトレーニングは、ずっとテーマとしている「体づくりから動きづくりへ」という発想の転換を元に、人間が本来持って生まれた能力を余すことなく発揮できるようにするために考えてきたトレーニング方法です。

こういう表現ではまったくイメージができないとは思いますが、まずはこのことが基本となります。

現在夜間のトレーニングに参加してくれているのは、中学3年生の男女と高校2年と3年生の男子選手、合計4名すべてサッカーをやっている選手たちです。

私がこのトレーニングを企画したのは昨年の9月半ばでしたから、一番長く続けてくれている2人でも、まだ5ヶ月に満たない期間ということになります。

週に2回から3回のペースで来てくれていますので、一番多く通っている彼らで、回数にすると70回くらいになるでしょうか。

そう考えると付き添ってくれるお母さんも含め、ファミリーのような感覚になっています。

兄のヒカル君のプレーは全国大会の予選も含め、3試合を直接観戦することができました。
元々能力は高かったとは思いますが、私がテーマとして掲げていることや、試合を見て私が必要だと感じて指導した動きも、すぐに身につけてくれて試合で活用してくれました。

また妹のアイコちゃんは、それまで所属していたチームの練習を離れ、受験勉強とトレーニングに時間を割り振っていたため、トレーニングの成果をなかなか実感することができませんでした。

しかし、受験勉強が一段落してから、トレーニングとサッカーの練習を並行して行うようになった時、3ヶ月のブランクがあったにもかかわらず、本人が驚くとともに、練習を見に行っているお母さんや、仲間たちからも驚きの声が上がるほどの変化を見せてくれているそうです。

こちらは直接見ていないのですが、話し振りからその変化を容易に想像することができます。

2人は口を揃えて、「サッカーが色々な意味でこれまで以上に好きになった、楽しくて仕方がない」と言います。

ではこの兄妹の何が変わったのか、それを説明することで、私のトレーニングの方向性や成果を感じてもらうことができると思います。

まず私のトレーニングを行ってもらう時、しつこいくらいに各トレーニング種目のフォーム・体の使い方や、どういう意識で体を使うかという部分を強調して指導します。

そのためにはどうしてもマンツーマンに近い状況が必要となります。

少しづつそれが形になってくると、必然的に扱える重量が増えます。

重いものが持てるようになることが目的ではなく、自分の体を思ったように動かすために必要十分な重さを設定していくということです。

重すぎてもダメ、軽すぎてもダメ、正しい動きで正しい刺激を求めて行くのです。

当然ですがそれらのトレーニングを継続することによって、体重や体のサイズにも変化が現れて来ます。

ヒカル君は既に5キロ体重が増え、そのほとんどは筋肉の肥大によるものと思います。
とくに上半身は、お世辞にも高校サッカーの名門チームのエースとは思えない貧弱な体でしたが、4か月を過ぎた今、見違えるような体になって、誰がどこから見ても立派なスポーツ選手の体型となっています。

体づくりではなく動きづくりのトレーニングを行った結果が、本来の目的である動ける体というものを作り上げてくれたうえに、副産物というか当然の結果として、求める動きを行うことができるだけの筋肉の肥大ももたらしてくれたというわけです。

妹のアイコちゃんも同じです。
女の子ですからあえて数字は出しませんが、小柄で本当に可愛かった彼女でしたが、今では敬意を込めて「モンスターアイコ」と呼んでいます(笑)

体の変化はもちろんですが、トレーニングのフォームが良くなったり、重量が増加してパワーアップしたことを喜ぶのなら、私のところへ来た意味がありません。

彼らが行うトレーニングの目的は、サッカーが上手くなりたいという一点ですから。

ではその最終目標であるサッカーが上手くなるとはどういうことなのでしょうか。

私が考えたその理想形は、まずは90分間頭と体を使い続けるという能力であり、そのために必要な走り方を身につけるということです。

さらには自分が意図した方向に、誰よりも素早く動き出して行ける能力、動きながら走りながら周りを見通し、次に何が起こるか、自分が何をしなければならないかを瞬時に判断する能力も必要です。
さらには動きながらボールを止める蹴るという基本動作はもとより、対人間というコンタクトスポーツとしての能力も必要となります。


まずは理想を掲げ、どうすればそこに近づけるのか、その階段を説明していきます。

とくに対人間のプレーに関しては、たんなるフィジカルと言われている能力よりも技術に近い方法を指導します。

いわゆる「技」と言っても良い部分です。

とは言っても「技は力の中にあり」という格言もある通り、技を活かせるだけの基礎的な筋力は当然必要となります。

そのために行なっているのが「伸kingトレーニング」だという繋がりになっていくわけです。

技を活かすための力、それを会得するためには様々なドリルを行って、技と力の架け橋としなければなりません。

それらすべてを完成させ、自信を持って指導していますので、継続のふた文字が条件とはなりますが、やる気があれば誰にでも習得可能な能力だと思います。

彼らがプレーをして楽しいと感じているのは、自分のやりたいこと意図したことそのままに体が勝手に動いているというか、こういう風に体が動き出してくれたらいいな、こんな時にこんな動きができたらいいなと思い続けてきたことが、いつの間にかできるようになってしまっていたからです。

他の選手より一回り小さなアイコちゃんが、大きな選手たちに対して当たり負けすることもなくボールをキープしたり、素早い出足でボールを奪ったりと、そんなことができたら楽しくないわけがありませ。

数年前のことですが、シーズン前のトレーニングでこの走り方を指導していた時、ベテランでお世辞にも足が速いとは言えない選手がこんなことを言いました。

「今までの自分は、本当なら5mいや3m前でプレーしているイメージなのが、実際には5m、3m後ろにしか体を運べていなかった。それが今この走り方で走っていると、まったく逆で思った以上に体が前に進んでしまい不思議な感じがする」と言い出したのです。

さらには「これならサイドバックもできそうです」の言葉に、一緒に聞いていた監督から、「それだけはやめてくれ」と突っ込まれて大笑いしたことがありました。

それくらいインパクトがあるのです。

力んで地面を蹴り上げて走るのではなく、静かにスルスルっと動き出してスピードに乗っていくのですから、これまでの常識では考えられない結果となります。

これはもう体験した人間にしかわかりません。

この走り方をベースとして、前後左右のターン動作、相手を抜き去る時の体の当て方、相手を背負った時の外し方、逆に絶対に外されない体の当て方など、彼らにとってというより、サッカーを長くやったきた人たちにとっても目から鱗の体の使い方ができるようになることこそが、私が求めている「伸kingトレーニング」の最終的な目標です。

そのためには基本的な体の仕組みに沿った、このトレーニングは必須条件となります。

人間の体の重心位置が股関節、具体的には大腿骨の大転子と呼ばれる部分であることを、股関節スクワットで実感させたり、ターン動作における意識は背骨を軸としたものではなく、ターンする側の脇腹で引っ張るように回れるようにするために、メディスンボールとバランスボールを使った反転動作のドリルを行わせたり、走るという行為に直結する股関節の伸展動作を強調するために、バランスボールを使ったランジ動作を行わせたりと、すべてがその後行うドリルへ、そして実際の競技動作につながっていることを、トレーニングを続けているうちに自然に理解し、そして身についていきます。

地面を蹴らない動き出しの動作に関しては、捻転からの引き起こし動作が必須となりますが、これもトレーニング動作の延長線上のことであり、人を外す動作も同じイメージで、落下・捻転・重心移動の3つを瞬時に行わうことで成立する技ですので、トレーニングの継続無くして身につけることは不可能です。

短時間の講習会で指導したとしても、気づきは与えられたとしても、それで実戦に使えるほど簡単なものではありません。

今指導しているのはサッカー選手たちですが、私の好きな野球、とくに投手の投球動作やバットスイングについてもまったく同じで、その他のスポーツ競技にもすべてに応用できます。

最終的にどこに結びつけていくかという問題だけで、ドリルの部分が変わってきます。

カープの若手投手の指導もしましたが、彼らに足らないのは自分の体をどうやって使えば、彼らの優れた身体能力を十分に発揮し、強く正確なコントロールを身につけることができるのかという、最も基本的な部分がわかっていないことです。

残念ながらその部分を指導できる指導者がいないために、監督自らが選手の指導を依頼してくることになるのです。

現監督は、現役先晩年に1年間指導を受けにきてくれました。
腰痛の持病に苦しみ少しでも良い状態でプレーしたい一心でした。

それが引退して指導者になってからも私の指導を受け続けてくれたのは、本来人間の体とはどういう風に使うべきなのかをもっと深く知りたいという彼の探究心からでした。

彼は野手出身ですが、佐々岡投手の行なっていた投手のトレーニングにも興味を示し体験してくれたことで、より私の理論の正しさを理解してくれたようです。

その結果として選手の指導を依頼してくれているのだと思います。

どんなことも同じだと思いますが、ただ頑張れ頑張れ、毎日一生懸命頑張っていますというのは、どちらもただの自己満足で、結果が出たとしてもそれは偶然です。

正しい方向性を見出し、目標設定を行うことなしに、努力という言葉をいくら使っても意味をなしません。

私は今の方向性に自信を持っていますが、さらに良い何かがあるかもしれないと、常に試行錯誤を続けています。

正しい理論に基づいた方向性を持ち、それを理解させながら、人間の持って生まれたそれぞれに備わった能力を余すことなく発揮できるための準備としての、「動き作りのためのトレーニング」を行い、実際に最終目標とする動きを獲得するための様々なドリルを行い、それらを継続することで確実に目標に近づくことができます。

「伸kingトレーニング」の目指すところと、その効果、わかっていただけたでしょうか。

数年前の出来事から、サッカーという競技の体の動きを真剣に考えるようになりました。

私がたどり着き、さらに試行錯誤を続けている体の使い方は、どんな選手に対しても劇的な変化を起こすものです。

この考え方無くして、大きな変化を望むことは難しいとさえ思っています。

いつか必ず私の思いが広がって行くことを信じています。

「伸kingトレーニング」は骨盤と背骨を動かすイメージトレーニング。

今日は1月26日、今月もあと1週間となりました。
今月が終わると当たり前ですが2月がやってきます。

日々日常が繰り返されていき、月日が流れていきますが、私と息子にとっては大きな節目を迎えようとしています。

具体的な事は言えませんが、努めて心の平成を装うようにしていますが、内心はまさに様々な思いが交錯しています。

何があっても、その全てを受け入れる覚悟は出来ているつもりですが、1ヶ月後のことが想像もできません。

さて、「伸kingトレーニング」の全容を言葉として残しておきたいと、思い付くままに書き綴っていますが、今日は上半身を強化する代表的なトレーニングである 「ベンチプレス」という種目について、私の行わせているイメージを文字にしていきます。

このブログを読んでくれている人で、ベンチプレスという種目を知らないという人は少ないとは思いますが、一応説明しておきます。

基本的なやり方は、フラットなベンチに仰向けに横たわり、ほぼ胸の真上にあるバーベルシャフトを肩幅より少し広めに握って、肘を伸ばした状態からスタートし、肘を曲げてシャフトが胸に着くギリギリまで下ろして、そこからまた肘を伸ばして元の姿勢に戻るということを繰り返します。

バーベルの重量は地面に対して垂直方向の負荷となるので、その真下に位置する大胸筋や肩の三角筋の前部、そして肘を伸ばす運動の主役である上腕三頭筋が主なターゲットと言われています。

それらの筋肉を発達させたければ、ベンチプレスを行うことが目的に合致した正しいトレーニングということになります。

それらの筋肉の中で私が重要視する伸筋は、上腕三頭筋なのですが、それよりも大胸筋や三角筋に対する刺激が重視されてしまっています。

こうして説明していても、何をすればどういうやり方で行えば、筋肉をより発達させることが出来るかということが中心となってしまいます。

私が繰り返し使っている「筋肉の仕事は骨を動かすことで、それ以上でも以下でもない」という論点から見れば、まったく的を得ていない議論になってしまいます。

ではベンチプレスを行う目的を、私はどう捉えどう伝えているかということです。

ベンチプレスという種目の外見的なイメージは、ベンチに横たわって肘を曲げ伸ばししているということになります。

私のいう筋肉の仕事は骨を動かすこと、という意味からすると、骨の動きは肘の曲げ伸ばしという動きで、上腕の骨と前腕の骨をどうコントロールするかという動きのトレーニングということになりますが、まったく違うイメージを持っています。


まずスタートポジションの姿勢ですが、ベンチに横になった時、両足は床ではなく、膝を曲げてベンチの上に置きます。

さらにヘソの真裏、骨盤上部から腰椎にかけての位置に、ホームセンターで扱っているような腰痛予防の腰当てのようなものを入れます。

この目的はベンチにプレスの動作中に、骨盤から背骨全体の前後の動きを、無理なく行いやすいようにするためです。

安全に動作を行うために、シャフトが軌道上を上下するスミスマシンという器具をします。

スタートポジションで、まだ持ち上げていない状態でシャフトを持った時、すでに腰当てをしていることと膝を曲げていることで、背骨は自然なS字カーブを描いています。

体に負荷がかかっていませんので、肩甲骨はフラットな状態です。

両手を肩幅よりも少し広く持っていることで、シャフトを含めて、その内径はシャフト部分が広く肩甲骨部分が狭い「台形」が形作られています。

このことがとても重要になります。

そのポジションからシャフトを押し上げラックから外すと、当然垂直方向に負荷がかかります、その負荷を筋肉ではなく、肩甲骨で感じて欲しいのです。

するとどういうことが起こるかというと、真上からの重さが左右の肩甲骨を中央の背骨側に引き寄せられてきます。

その際背骨のS字カーブはさらに大きくなります。

腰当てに触れていた腰椎の部分の湾曲も大きくなり、腰当てが横から引っ張れば抜き取ることが出来るかもしれない状態になります。

これは自分が意図して行ったというより、バーベルの重量が背骨に対して自然に行わせてくれた連動動作です。

シャフトが胸に着くまで下ろしてくると、背骨のS字カーブもマックスとなります。

筋肉の状態ではなく、あくまでも骨の動きを中心として考えているので、このイメージでシャフトをギリギリまで胸に近づけると、普通に行う以上に重く感じることになります。

筋肉をメインに考えて高重量で行うと、ここまで背骨を動かすことは出来ません。

この動きをダンベルを使って行えば、シャフトがないぶん、更に背骨を反らすことができますが、それだけが目的ではなく、次の肘を伸ばして背骨を丸めるという動作につなげていくためにも、スミスマシンの方が適していると思います。

目一杯背骨を反らし、肩甲骨が中央に寄り切った状態から、肘だけを伸ばしていきます。

普通に行うより重く感じると言っておきながら、そのままの姿勢で肘だけを伸ばすなんて出来るわけがないということになるのですが、それが行えるように初めからそれに適した重量を設定しておくのです。

下ろし切った時には、とんでもなく重く感じた、感じるように動かさせているのですから当然なのですが、そこから肘を伸ばすという動きに切り替える際には、いったん背骨の意識を少し外しますので、上腕三頭筋の働きのみで押し上げることが出来る重量にしてあるのです。

この時はまだ肩甲骨は閉じられたままですが、肘が伸びて行くとともに肩甲骨も元の位置に戻っていきます。

そして肘が伸び切って体全体がスタートポジションに戻ったところで動きを止めずに、今度は肩甲骨を開いて行くように、さらにシャフトを高く押し上げていきます。

すると腰の下に当てていたものを、背骨が丸まって押しつぶして行くような姿勢となります。

その動きを確認してから、スタートポジションに戻って一回の動作が終了ということになります。

慣れるまでは体の連動のイメージが掴みにくいのですが、それこそまさに筋肉が骨を動かすためではなく、バーベルの重量を押し上げるという目的にしか使われていなかった証拠ではないでしょうか。

現役時代100キロ近い体重があった佐々岡投手にして、この種目で60キロ以上の重量を扱わせることはありませんでした。

トレーニングキャンプの期間中に、他の選手とは別のメニューで、私のやり方を通してもらいましたが、ベテランの他の野手からは、そんな重量でなんの効果があるのかとからかわれたりしたそうです。

理屈を説明しても一度や二度体験してもらっても、その本質は伝わらないでしょうから、彼は黙々と自分の信じたやり方を9年間通してくれました。

動きの説明は以上ですが、このやり方は自分一人で行うと、一番重要な可動域の端っこの部分、反らせるところまで反らすというところと、丸められるところまで丸めるという、背骨の可動域をできるだけ広く使えるようにするという目的のためには、やり方を熟知した補助者がいて、その部分を強調したトレーニングを行うことが、その効果を高めてくれることは言うまでもありません。

たったの10回、それも1セット行っただけでも、終了後には今までにない感覚となります。

体の前側、大胸筋よりも、体の後ろ側に不思議な緊張感というか使った感があるのです。

そして見た目にも姿勢が良くなります。

それはトレーニングの目的が骨盤と背骨をうまく動かすことにあったからです。

けっして体幹部分を安定させる、強化するという発想ではありません。

自分の意図した通り自由に連動させることが目的です。

この目的論は、他のすべてのトレーニング種目にも共通します。

「伸kingトレーニング」は骨盤と背骨をイメージ通りに連動させるトレーニング、といっても過言ではないかもしれません。

実際に指導を受けてくれた人たちにも、今日の記事で整理し直して欲しいと思います。

前回の記事に、塾生で名古屋の内田さんからコメントをいただきました。
西本理論をベースにトレーニングの指導をし、目に見える成果を出してきたにもかかわらず、それを実感した選手が、その事実を秘密にしてしまい広がっていかないという、私が現在抱えている問題が内田さんの身にも降りかかっているというのです。

残念ながらこの現実は当分変わらないと思います。

ツイッターでもつぶやきましたが、なでしこジャパンが元オリンピックのメダリストを講師に招いて、走り方の指導を受けたそうです。

私や仲間たちがどんなに結果を出そうと、そういうメジャーな人たちのように、指導を依頼されることはないのかもしれません。

そういう意味では、もう一度私がメジャーな組織で結果を残さなければ、学んでくれた人たちに申し訳ないという気持ちもありますが、現実には少し難しいことなので、何か他の方法があれば考えなければなりません。

人間の動作を分析するには、私も含めてですが、外見上の動きだけを見たのではわからない部分の方が当然多いと思います。

体の動き使い方、それらの連動がどう行われているか、本当の意味での体の仕組みと、何より実際にその動きを画像ではなく生で見る、できればその体を触って動かしてみる、そこまで出来なければ、あくまでも一般論であるということを断らなければならないと思います。

昨年末にはそういう経験もさせてもらいました。

なぜトレーニングを行うのか、このトレーニングを行うことでどんな効果があるのか、しっかり考えて行わなければ、せっかくの努力も徒労に終わる可能性があることを知って欲しいと思います。

こんな苦しい4年間はもう過ごしたくないというコメントをオリンピックの後に残した選手がいましたが、その努力の方向性がどうだったのかを検証することなく、ただ何かを変えるでは同じことの繰り返しになるのではと思います。

私はまだまだ、なぜどうしてを繰り返しながらも、相手に真剣に向き合い、ただ正しいものを正しいと言うだけではなく、しっかり寄り添って同じ感覚を共有して、より良い方向に導いてあげたいと思います。

「伸kingトレーニング」では、なぜ1種目1セットしか行わせないのか。

昨日は地元広島で行われた、都道府県対抗男子駅伝を応援に行ってきました。

広島に住んで既に20年が過ぎ、22回目となったこの大会も第1回、地元広島が優勝したところからから記憶しています。

仕事の関係で沿道で直接応援したのは、平和公園前のゴール地点で家内と一緒に一度だけしかありませんでした。

今回はフェイスブックを通じて、宇和島東高校の同級生から、現在勤務している神奈川県の領家中学の生徒が、6区3キロの中学生区間を走るので応援してあげて欲しいという依頼があり、ならば直接声をかけに現場に行こうということにしました。

第5中継所となる広島工大高までは、車で行けばそれほど遠くないのですが、行きは市内電車で広島駅まで行って、JR山陽線に乗り換え五日市駅まで行って、そこから少し歩いてということになり1時間ほどかかりました。

国道脇は住宅地ではないので、沿道の応援はまばらでしたが、同じ場所に立っていた母娘がその区間を走る宮崎県チームの選手の家族と分かり、一緒に声をかけて応援しました。

もちろんトップで駆け抜けて行った選手から、最後の1チームまで、全チームの選手に大きな声をかけ手を叩いて声援を送りました。

各県を代表して選ばれるということだけでも凄いことですから、ご家族や関係者は全国津々浦々から応援に駆けつけてくるのでしょう。

私も選手たちを自分の家族だと思って、出来る限りの声援を送りました。

今日は、彼らの走りに関していつものようにああだこうだという気持ちにはなりません。

一生懸命に走る中学生たちを、素直な気持ちで応援しました。

さて、「伸kingトレーニング」の実態を少しずつ明かしていますが、今日はそのトレーニングの量というか種目と回数やセット数について書いておきます。

通常筋力トレーニングを行う場合、筋力アップや筋肥大が主な目的となるので、その目的に即したトレーニングの方法論が様々研究されてきました。

私が18年前、まさにそのことを目的として3か月間限定でハードなトレーニングを自らに課した時にも、鍛える体の部位を4分割して、1週間に6回、日曜日だけを休みにしてローテーションで追い込んで行きました。

一つの種目を行う際、少し軽めのアップセットを行い、3セット目にメインの重さを行えるようにして、その重さで3セット、合計5セットくらい行ったと思います。

一緒にトレーニングをしているマッチョな方々が補助をしてくれるので、自分ではもう限界だと思ったところから3回5回とプラスされました。

有難いような有難くないような、とにかくきついトレーニングでした。

1回のトレーニングに2時間くらいかかったと思います。

まさに疲労困憊で、しばらくは放心状態で、休憩しないと帰りの自転車に乗ることもできない状態まで追い込みました。

さらには、セット間のインタバルの秒数まで計算し、一つのセットを終えたら45秒後に次のセットを始めるという、一切の妥協を許さない、まさに体をいじめるトレーニングでした。

結果はたったの3か月で8キロ強の体重増加があり、そのほとんどは筋肉であったと思っています。

目的が肉体改造であったので、十分に効果を感じましたが、それまで普通に行うことが出来ていたスポーツ動作が、事前の想像以上にできにくくなったことも間違いなく実感しました。

私がスポーツ選手に求めてきた、動きの質を上げる、それぞれの競技動作が上手になるという、トレーニングを行う本来の目的からは外れてしまうのではとないかと、自らの体で改めて感じることになってしまいました。

その後指導させてもらう機会をいただいた社会人野球チームや、個人として指導したプロ野球の投手のトレーニングでは、ある意味矛盾することも出てきました。

佐々岡真司というトップレベルの選手の指導に際しては、まったく私の理想通り、大きく強くなるためではなく、彼の持っている能力をどうやって引き出すか、まさに「動きづくりのトレーニング」を実践することが出来ました。

自分のトレーニングを行った翌年に彼とのマンツーマンが始まり、9年間継続して指導をしましたので、この経験が私に大きな自信をつけさせてくれたと思っています。

社会人野球、三菱広島というチームの指導ですが、選手個々の能力にばらつきが大きく、佐々岡投手と同じ考え方で全員を指導することには無理がありました。

かと言って30人近い選手一人一人に個別の指導をするという訳にも行きませんので、時期によって変わりますが、週に2度か3度のトレーニングのメニューは統一するしかありませんでした。

さらには明らかに筋力不足の選手も多く、チームとして一定のレベルに引き上げる必要がありますので、その目的にためには1種目1セットの基本に少し変化をつける必要がありました。

それでも自分が行ったような1種目を5セットもというメニューは行わせませんでした。

一度だけ監督の依頼で、全選手がベンチプレスで100キロ以上を挙げられる筋力にして欲しいと言われた冬があり、ベテランの投手で細身の選手を除き全員にその目標をクリアさせるため、セット数を増やしたことがありました。

チーム全体でトレーニングに対するモチベーションを上げるという意味では、一つの方法ではあったと思います。

最終日に重さと回数を競わせ、優勝者には天ぷら屋さんの食事券がプレゼントされるというオマケまでついていました。

もちろん私もクリアしました。

大きく分類すると、この二つの指導内容となりますが、三菱の指導においても、ただ重いものを何回も挙げられるようになることが目的ではなく、その運動に参加するすべての関節の可動域を十分に使うことを最重要なポイントとして指導しました。

とくに投手に対しては、佐々岡投手と同じように動きづくりをメインとした「投手メニュー」と称した内容を投球練習前後に行わせていました。

そして現在、どんなレベルの選手を指導する場合も、1種目1セットは私の中で変えられない大原則となっています。

スポーツ選手がトレーニングを行う際、シーズンオフでその競技動作の練習から全く離れている場合なら、百歩譲って、やりたければ重さも回数も好きなようにやればいいと思いますが、シーズンを通して行うことが前提となれば、筋力トレーニングと技術練習のバランスということも考えなければなりません。

完全にオールアウトまで追い込んで、筋繊維に大きなダメージを与え、超回復現象を待って筋肥大を起こさせるなどという考えが正しい訳がありませんから。

日々行うそれぞれの種目の練習に、筋力トレーニングの効果が実感できなければ、真剣に取り組むことなど期待する方がおかしいと思います。

現在指導している中高生のサッカー選手たちとは、グランドレベルの練習にどんな変化があったか、どんな効果を感じ、どんな課題が見つかったか、その都度会話し、私が指導しているトレーニングとの相関関係や、応用の仕方を説明しています。

だからこそトレーニングが楽しいと、毎回笑顔でやってきてくれるのです。

先日も、中学3年生のアイコちゃんが、体が小さくいわゆるフィジカルが弱い選手の見本という扱いで監督に指名され、体当たりの仕方を指導されたそうですが、何と彼女は、大の大人の男性監督を、反対に跳ね返してしまったというのです。

その体の使い方や、そのために必要なトレーニングは、たとえ4か月間とはいえ、十分に身に付いていますので、本人にしてみたら当たり前のことなのですが、何も知らない監督はさぞ驚いたことでしょう。

これだけのことが当たり前に出来れば、同じ女子選手相手に負けるわけがありません、大きな自信をもったことでしょう。

また、金曜夜9時に放送されたNHKのニュ-ス番組のスポーツコーナーで紹介された、ドイツで活躍している大迫選手のインタビューの中で、屈強なドイツ選手を相手に自分がどんな工夫をしているかという話があった時、すでにその体の使い方は私から指導されて知っているどころか、大迫選手が話したこと以上に具体的な体の使い方を知っていてできるようになっていることも、お互いに納得できました。

高校3年生のお兄ちゃんは、その動きを既に実際の試合で使いこなせるようになっていて、私が見に行った試合の中でも、私が見ている近い場所で、発表会のようにその動きを披露してくれました。

私が教えている選手は、すでにそういうレベルに達しています。

そういう具体的な変化や成果を感じられるようにするためにも、できるだけ体に過度な負担をかけず、なおかつ正しい刺激が伝わるトレーニングでなければなりません。

実際に彼らが全体のメニューをマンツーマンで行うと50分弱かかります。

その間のインタバルは、長からず短からず、というよりも私ではとてもそんな短いインタバルで、「ハイ次行くよ」と声をかけられても、「ちょっと待ってもう少し休ませて」と言いたくなる短さです。

そんなインタバルにもかかわらず50分近くの時間を要するということは、内容が盛りだくさんだということです。

マシンを使ったトレーニングは、関節に対して一定の運動しか起こしてはくれません。

それを何セットも繰り返すということは、関節に対してこの動きをしっかり行ってくださいというメッセージを送り続けることになります。

私が求めているのは、骨盤から背骨に対して6方向すべての動きが連動しやすい筋肉の収縮活動を体に学習してもらうことです。

そのためには手を変え品を変え、という言い方がありますが、「ハイ次も、もう1回これね」と、体が慣れてしまわないように種目や運動方向を変えて行きたいのです。

もうお気づきかと思いますが、そんなやり方で50分かかるとしたら、それぞれの種目を3セットずつ行ったとしたら、その3倍の150分、2時間半もかかる内容だということです。

それだけの内容をコンパクトに凝縮し、それこそ毎日でも取り組むことで、それぞれが持って生まれた能力を余すことなく行う準備を行っているのです。

50分のトレーニングに加えて、サッカー選手ですから、その体をどう使ってボールを扱うかという、ボールを使ったドリルも行いますし、アイドリングから引っ張り出しの動作、3歩目でトップスピードに乗せるための落下捻転重心移動の動きだしのドリル、またトップスピードからのアイドリングステイ、そこからの左右の横への動き、さらには後方への左右の捻転による対応動作など、サッカー選手にとって必要な基本動作もすべて行っています。

それらの動きが上達していくためには「伸kingトレーニング」が必要なことは言うまでもありません。

彼らはそのことが実感できるからこそ、嬉々としてトレーニングに通って来てくれるのです。

ただの筋力トレーニングを行うのでもなく、ただグランドでボールを蹴るのでもなく、どうやったら上手くなるのか、本当に必要な能力を高めるために必要な要素を探しだし、それを獲得するための方法論を考えてきました。

先ほどツイッターでもつぶやきましたが、なでしこジャパンが元有名選手を講師として、メンタルトレーニングと走り方の指導を受けたそうです。

確かに、それぞれのスペシャリストであることは間違い無いのですが、その走り方や体の使い方が、実際にサッカーという競技にマッチしたものであるのかどうか、よく考えた方が良いと思います。

私などそんなところに呼ばれることはないと思いますが、中学3年生のアイコちゃんは、将来なでしこジャパンに入って、私を専属トレーナーとして雇ってくれるという夢を持っているそうです。

チームのではなく、あくまでも彼女個人の専属にしたいそうです。

この4か月間、私から学んだことはこれまで全く知らなかったことばかりで、体の痛みや不調に対応してくれるばかりではなく、体の仕組みやその使い方という根本的なところから指導してくれて、どんな質問や疑問にも的確に答えてくれる、そんな人間が一緒にいてくれたらスポーツ選手としてこんな心強いことはないでしょう。

1種目を1セットしか行わない、私が求める目的に近づいていくために行き着いた考え方です。

目的が違えば別の方法があって当然です。

私は私の考えてきた方向性で、私を信頼してくれる選手のためにより良い指導を追及していきます。


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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